ノマド探求

二次元移住準備記

なんだか忙しい。

IT警備員の仕事が、ここ最近忙しい。監視する拠点が倍に増え、仕事量が急増したためだ。残念なことは、仕事の質が高くなったらではなく、単に仕事の量が増えたから忙しいことだ。仕事量が増える前は、夜勤でそこそこ勉強する時間を確保できたのだが、今は休憩を取る暇もないぐらいだ。

仕事は輪番制なので、日勤と夜勤に交代で入る。最初は上手く睡眠時間を調整できなくて睡眠障害になった。色々と試すうちに何とか調子を掴めたけど、夜勤で質の良い仮眠を取れることが前提となる。仮眠を取れなかった時は、夜勤明けは睡魔に耐えきれず昼前から夕方まで寝てしまう。そうすると大きく睡眠時間がずれ、しばらく睡眠障害が続くことになる。

一時的な忙しさであれば我慢できるが、派遣先は仕事量も減らさないし人も増やさないということなので、そのうち崩壊するだろう。今でも一、二ヶ月に一人、人が抜けていくのに、頭数さえ揃っていれば何とかなると考えているようだ。モニターを見ているだけのIT警備員だって、現場に慣れるまでは頭数に入らないし、それなりに経験則が物を言う事態も起こる。馬鹿にしてんなコイツらと思いつつ、こんな仕事から抜けられない自分が悲しくなる。

Skypeに録音機能が追加された。

最新バージョンのSkypeから、新しく録音機能が追加された。録音した音声データはSkypeを使っている端末ではなく、Skypeのファイルサーバーに保存される。必要であれば好きな端末にダウンロードできるので便利だ。

一ヶ月ぐらい前にPCの中身を入れ替えたら、Windows7が起動しなくなったため、CentOSにOSを変えた。そうしたら、オンライン英会話のレッスンを録音するために使っていた録音ソフトが使えなくなってしまった。替わりのソフトを探していたけど、しばらくはSkypeの録音機能で代替することにする。音質は悪いし、講師と自分の発話を分て録音することができないけど、無料なので文句は言えない。Skype自体も無料だし、貧乏人に優しい時代になったと思う。

蜃気楼を追う。

日本人は何でも道に仮託して、物事を達成する行程を人生観に組込む器用な精神構造を持っていると思う。目的を遂げるための手段を洗練させ、儀式や生活様式までに昇華させる能力だ。こうなると手段であるはずの道は、漠然とした甘い夢を見るための揺り籠にも変わる。定められた反復行為の中、そもそもの目的はどうでもよくなり、夢遊病者のように儀式と戯れる羽目になる。何の道を歩くにせよ、鏡に映る冴えない自分の顔と違い、その虚ろな目に映るは蜃気楼に浮かぶ理想の自己像だ。

一度歩き出すと、進む道の軌道修正は容易ではない。さらに道を捨てるのは苦渋の決断となる。妄想の王国は灰塵に帰し、また夢を見たいのであれば新たな理想の王国を探すための旅に出なくてはならない。二十年前にフリーターの地図を手渡された私は、他の多勢と同じように底なし沼に嵌った。その地図には進むべきな道など書かれてなく、出口のない迷路に過ぎなかったからだ。十年前にそのことに気付いてはいたが、引き返すことができなかった。中年フリーターに二枚目の地図を持てる者は少ない。私を含めて、次に手渡されるのは六道輪廻の地獄絵図だ。恐らく十年後には生き地獄が待っている。

反面、新卒で社会人になった友人の多くは、進むべき確固とした道が記された地図を手渡された。甘い夢を見ながら道を歩き、すでに所帯を持った彼らに簡単にサラリーマン道を外れることはできない。竜宮城に籠城する浦島太郎さながら、現実に戻ってたまるかという思いもあるだろう。ワーカホリックとかゾンビとか言われようが、そんなことは当人の知ったこっちゃない。不細工な妻も小生意気なガキも、乙姫の舞いを彩る熱帯魚だと思えば愛おしくなる。竜宮城はサラリーマンの夢を見る限り永遠だ。脱サラして飲食店とか気迷わなければ、そこそこ安泰の人生を送ることができる。一度も正社員として働いたことのない私には、実際に存在するのか分からないが、一昔前のサラリーマン道を邁進した企業戦士の中にはExcelのマクロを使わなかった人もいたようだ。様式化されたセルへの手入力は、神の国に至るための神聖な修行の一環なのだろうか。日本の生産性の低さは、夢を見るために必要な儀式の存在が裏にはある。

今でこそフリーターは蔑称だが、その昔はヒッピーやノマドワーカーと同じようにフリーターもイケてる生き方の一つだった。時給九百円の単純作業も神の国に至るための修業だった。私も周りのフリーターも、皆真剣に働いていた。だが今やフリーター道を極めようとする者はいない。何だかノマド道にもフリーター道と同じ匂いがする。この歳になって気付いたのは、人から渡された地図に書かれた道は当てにならない。順序が逆で、自分の頭で考えて行動し地図に記した跡が道になるのだ。今更遅いけどさ、トホホ。