ノマド探求

二次元移住準備記

二泊三日の鞄。

香港に行く前、荷物を入れる鞄をどうしようか悩んでいた。一週間ほどの旅行であれば、いつもショルダーバッグとバックパックで荷物を持って行く。貴重品はショルダーバッグに入れて常時携帯し、洗面用具や衣類などの盗られてもどうでもいい物はバックパックに入れて、不用心だがバス停や空港ではその辺に転がしたりしていた。これが一ヶ月、二ヶ月の旅行になっても変わらない。パスポートを始めとして、日本でないと手に入らない物、もしくは手に入り難い物を入れたショルダーバックの中身はいつも同じ。反対にバックパックに入れた衣類は汚れたら洗濯すればいいし、日用品はなくなったり必要になったりした都度、現地で調達する。こんな感じで鞄で悩むことは今までなかったが、二泊三日の旅行は経験が少ないので悩んだ。

結果としてショルダーバッグ一つで旅行に行った。香港はまだ暖かいので衣類はかさばらず、貴重品も洗面用具も全部まとめてショルダーバッグに詰め込んでも問題ないと踏んだのだ。しかし荷物が少ないとはいえショルダーバッグはパンパンに膨らみ、そこそこの重さになってしまった。貴重品も入れているので、その辺に転がすこともできない。身動きは取り難いし歩き難いしで、移動にも難渋した。やはり、貴重品と盗られてもどうでもいい物は分けて持つようにしたい。その方が貴重品だけに意識を集中すればいいので気が楽だ。今度からは二泊三日の小旅行も、貴重品を入れるショルダーバッグとその辺に転がしておく用のバックの二つに分けて、荷物を持って行こうと思う。これが自分の旅行スタイルに合った荷物の携行方法なのだ。

香港に行ってきた。

遅めの夏休みを取り、二泊三日で香港に行ってきた。行きと帰りの飛行機はLCCのバニラエアを使い、出国税などの諸経費込みで二万五千円。宿は一泊五千円のゲストハウスにして、現地の滞在費も合わせて総額五万円ぐらいに出費を抑えた。

倉庫のような成田国際空港第三ターミナルから出発。相変わらず旅情を打ち消す殺伐とした建物だ。香港国際空港に到着した後は、旅仕度を調えるため空港でプリペイドSIMの購入とATMから現地通貨の調達に取りかかる。プリペイドSIMを88香港ドル、ついでに市内の九龍駅に乗り入れる特急列車の往復チケットを185香港ドルで購入した。SIMカードが香港の相場からして高いのか安いのか、あまり気にしなかったので良く分からない。二泊三日だとお金よりも時間の節約が重要になるのだ。またクレジットカードを使いATMから700香港ドルをキャッシングした。これで現地での全ての出費をまかなった。700香港ドルは実質二日間の滞在期間では使い切れず、手元に100香港ドルが残ってしまった。

地下鉄などの交通機関は、オクトパスカードというSuicaに似たカードを使って利用した。初期の投入金額が150香港ドルデポジットで50香港ドルの200香港ドルを現金で払い、九龍駅の窓口で購入。セブンイレブンの一本17香港ドルの果物ジュースが美味しくて、一日三本ぐらいオクトパスカードで購入したけど、地下鉄代が安いのでクレジットの追加はなし。しかも最後に九龍駅でカードを返却したらデポジットの50香港ドルが戻ってきてしまい、使い道に困った。ちなみに購入三十日以内の返却は、手数料として9香港ドル取られるそうな。

香港では、昼は街をブラブラし、夜は音楽を聴きながら夜景を眺めていた。香港は観光地だが興味をそそられる場所がなくて、現金を落す場所が見つからなかった。美味しいローカルフードを食べても高くて一食70香港ドルで、かつ量も結構あるため一食で満腹になり。そのまま続けて二食目は無理だった。特にやることもなくて退屈してしまい、歩き疲れたらスタバに入って本を読んで暇を潰していた。スタバもトールサイズのコーヒーが26香港ドルで日本と変わらない。

香港の感想は、観光客が集まる場所は東京と同じくらい清潔だが、そこから少し外れると香港のイメージ通りの光景が残っていて少し嬉しかった。増築改築を繰り返し得体の知れないオブジェのような雑居ビルが稠密する街並みは、私がロマンを抱き続けるアジアを体現したものだった。香港の感想はこのぐらいで、正直一泊二日でも良かった。ワンタン麺は美味しかったけど、二度目はないかな。

準備として派遣の仕事を辞めることから。

いきなり世界中の喫茶店でできる仕事を見つけることは、難しいと気付いた。まずは日本の自宅でできる仕事を見つけ、それからノマドワーカーになる段階的な戦略を取ろうと思う。

現在、私は収入の全てを派遣の仕事に依存している。昨年の目標として、日本での稼ぎの三割ぐらいをノマドワークで捻り出そうと考えていた。移住してから現地採用の仕事を探す間、その三割と貯金で凌げばいいかなと。しかし実際には、三割どころかその一割を稼ぐことすら難しい。原因はノマドワークと言われている仕事のほとんどが、仕事とならないことだ。筆頭に挙げられる株やFXなどの投機、ブログや情報サイトの広告収入など、私には霞を食べて生きろと言われているに等しい。Webサイトの制作とかプログラミングとかを請け負い、自宅で仕事をしている人のブログも読んだが、スタバでmac広げてウェーイの人はいなかった。ノマドワーカーとは、役者と同じで仕事ではなくその活動を指しているからだろうか。ノマドワーカーを称する人のブログを読んでも、その具体的な収支や仕事の内容を紹介している人は僅かで、だいたいは言葉を濁してしまっている。

私が目指すノマドワーカーは、本来の意味でのノマドワーカーとは違う。ノマドワーカーの概念が提唱された当初、遊牧民が肥沃な大地を求めてさすらうように、より良い稼ぎを求めて易々と国境を越えられる人たちを指していた。しかし、今はヒッピーやフリーターと同じように得体の知れないはみ出し者を指す言葉として膾炙している。私は後者のノマドワーカーになる準備として、派遣の仕事を辞める。在宅勤務が認められている日本の職場で働き、日本の環境をそのまま海外に移すことを念頭に職探しをしようと思う。派遣の仕事では在宅勤務はない。結果として今の働き方の延長線にはノマドワークはない。