ノマド探求

二次元移住準備記

CompTIA Cloud+を受けることにした。

オンライン英会話のレッスンを受け始めて一年以上経つが、未だにペラペラとは喋れない。そもそも一日三十分程度話したぐらいでは、流暢に外国語を話せるようにはならないことは、最初から分かっていた。それでもかなり頻繁に言葉に詰まるので、これは何とか改善しないと駄目だと思った。

話したいことが思い浮ばないのではない。日本語では単語や表現が思い浮かぶのだが、それを英語に変換できないのだ。これをオンライン英会話の講師に相談すると、複数の講師から英語の本を読めと勧めらた。英語の本を読むことで、知っている単語量が増え、使える表現の幅が広がるそうだ。実は講師に勧められる前から、英語の本はIT関連を中心に読んでいる。どうやら読書量が足りないようだ。それに楽なペースで読んでいるのも上達しない一因なのかもしれない。

思い切って、ITの試験を英語で受けることにした。実務にも仕事探しにも役に立ちそうで、かつ英語の参考書が充実している試験は、CompTIAしか知らない。そこで勢いにまかせ、九月の末にCompTIA Cloud+を英語で受ける。試験勉強も英語の参考書でする。CompTIA Cloud+は日本では英語と日本語で実施されていて、申し込む時にどちらの言語で受けるかを選ぶことができる。一度選ぶと変えることはできないようだが、覚悟を決めるには丁度良い。すでに四万円を支払って試験に申し込んでいる。もう後戻りはできない。

レッスンの受け方を見直す。

オンライン英会話のレッスンを受け始めてから、一年と二ヶ月が経った。途中でTOEICの試験勉強で中断はしたが、ほぼ毎日25分のレッスンを受け続け、レッスン時間の合計は120時間を越えた。たかだか英会話の勉強を一年程度続けたぐらいで、流暢に英語を話せるようになるとは考えていない。英会話に対する恐れが若干薄れたが、今でも横断歩道で信号を待っている時など、白人が横に並ぶと身構えてしまう。ただ、一年も経てばレッスン自体には慣れてきた。オンライン英会話を始めた当初は、レッスン開始直後の挨拶すら怖かった。How about you?がシャイな日本人にとって、どれほど頭を悩ませる言葉か、外国語を勉強したことのない人間には分からないことだろう。How about you?が恐ろしくて、オンライン英会話を挫折した人もいるのではないだろうか。まぁ、この辺の事情は英会話を勉強したいのか、英語道を極めたいのかの違いにもよる。このHow about you?をグッドの一言で受け流せるようになった時、何かを会得した気がした。

ここ最近の悩みは、どうすればレッスンを効果的に受けれるかということだ。今はレッスン前に教材を読み、設問に対しての解答とレッスンで話すであろう会話のアンチョコを予め英文で用意している。アンチョコを用意する時に分らない単語や構文について、入念に辞書を引いて調べているので、準備だけで二時間弱かかっている。レッスンではアンチョコの解答をそのまま読み上げ、講師との会話はアンチョコを参考に応答している。想定内の会話であれば、そこそこ流れを止めることなく会話を弾ませることができる。しかし、予想外の話題を振られると途端にしどろもどろとなり、これが実力なのだと痛感させられる。

英会話の即応力を鍛えるためには、レッスンではアンチョコを用意せず、咄嗟に英語脳で応答する方が、効果的なのではないかと思う。事前準備をしないと辞書を引くことが少なくなるので、単語と構文への理解は深まらないだろうが、それはまた別に勉強をすればいいだけだ。しばらくは頭の中で解答や話題をまとめるだけに留め、なるべく即答を心掛けるようにしようと思う。

次の準備。

年内に今の職場を離れようと目論見、準備を進めている。派遣元の営業には今期の契約更新前に明確に伝えているし、派遣先の責任者にも来月の初めに直接、話をするつもりだ。仲の良い同僚には、すでに辞めることは話してある。辞めると話したところで、お互いに特別な感情は持たない。ただでさえ人の入れ替わりが激しい業界だし、派遣社員が多い職場だと三ヶ月毎に人がいなくなることはザラにある。人間関係は超が付くほど良好な職場なので、惜しいは惜しい職場だ。親しくなった同僚と一緒に仕事ができなくなるのは、残念ではある。しかし、そろそろ環境を変える時機が来た。たまたま同じ職場で巡り合い、酒を飲み交わした一期一会に感謝して、綺麗に去っていこうと思う。

ここ最近は、今の職場で履歴書に書けそうなことをまとめ、次の職場を探すための準備をしている。自分の職能や実務経験を整理しコピー用紙に書き出していると、次第に履歴書の仲の自分が現実感を伴う実体から遊離し始めることがある。まるでRPGでキャラクターの育成戦略を練っている気分になるのだ。どの能力を伸ばして何の装備を揃えようかなと、モニターを前に考えているのと大して変わらなくなる。自分を客観視することとも違うし、何だか奇妙な感覚だ。

この現実感の狂いは、旅情に似ている。出発点となる馴染みのあるこの街をブラつきながら、次の冒険に向けて準備をする。この街を出ることで展開する物語に心を踊らせつつも、もう戻ることはないであろうこの街とモブキャラへの感傷が時折胸を刺激する。実体からの距離は、ゲームの中の自分も履歴書の中の自分もさほど変わらない。期待と不安が混交する高揚感で、しばしば日常が麻痺する感覚は、バックパックを背負って旅行をしている時と同じだ。職場を変える準備が、旅行をするのと同じくらい楽しくなってきた。