ノマド探求

二次元移住準備記

思い出の品。

もう日記を二十年以上書き続けている。毎日律儀に書くことはなく,気が向いた時にしか書かないので備忘録といった方が正しいのかもしれない。その日記を読み返すことはまずないので,備忘録ですらないか。書いている内容も,何食べたとか誰と遊んだとか,徒然なる日常を書き綴ったものではなく,自分の考えをまとめたものがほとんどだ。言葉に書き出すことで,自分の考えていることを明確にすることが目的で書いている。だから,生活に追われて何も考えていない時とか変化のない時とかは,書くことがない。

だいたい一年で大学ノート一冊が終わる。経験則で,大学ノート一冊の分量を書き出せると,それなりに変化がある日常で安定した生活を送っていると判断している。もちろん良い変化があって,書いても書いても次々に考えることが出てくる時は,人生が好転している良い兆候だ。行動が環境の変化に結実し,さらにそれが行動を喚起する良い流れに乗っていると判断している。逆に書くことが全然思い浮かばない時は,変化を求めて何か行動に出る時宜になる。

今までに大学ノートで二十冊ぐらい書いた。移住前に物を処分し,日本には何も残さないつもりだが,これだけは捨てることができそうにない。自分が写った写真とかの類いはすでに散逸し,自分の手元に残っていない。学生服とか記念品とかはもちろん,人からのプレゼントとかも,使えなくなったり使わなくなった時点で捨ててしまう。物に記憶を結びつけ,それを思い出の品として取っておく嗜好が全くないのだ。しかし,この日記だけは自分の物語が詰まったアカシックレコードとして,どうしても捨てることができない。実家に預けてから移住するつもりだし,もちろん移住先でも書き続けていく。