ノマド探求

二次元移住準備記

そもそも移住の必要はないのか。

海外に移住したいと思い,準備を初めてから半年強が過ぎた。色々と突き詰めていく中で,社会性を捨てるためには,必ずしも海外に移住する必要がない気がしてきた。準備と言っても心構えを固めながら身辺整理をしている最中なので,実際に移住先で仕事や家を探すうちに,また心境が変わることもあるだろう。しかし,一先ずの結論としては海外に移住しなくても目的は達成できるということだ。

人間関係に嫌気がさしたら,ただ捨てればいいのだ。そこから逃げ出す必要がある,鬱陶しい人間関係はフラフラと生きている人間には存在しない。捨てても問題はないし,誰も傷つけない,実に淡泊な人間関係の中で生きているからこそできる所業だ。例えば,借金取りに追われているとか,養育費の支払いを求められて係争中とか,傾いた家業に人生を蝕まれているとか,そんな重い人間関係の渦中にはないし,たぶん,これからもないだろう。仕事を辞めて携帯電話も捨てて,家に引きこもれば,それで捨てられるぐらい軽くて後腐れのない人間関係を築いてきた。さらに今住んでいる家から引っ越せば,立派に社会性を抑制できる。二,三駅程度の距離を開けた引っ越し先は,駅前留学ならぬ駅前移住になるだろう。日本にいる限りは日本人として要求される社会性はあるが,燃えないゴミの日を守るとか,エスカレータに乗る時は右側を空けるとか,その程度で大丈夫だと思っている。

携帯電話を捨てなくても,アドレス帳を適当に整理すれば,それだけでも社会性は軽くなる。自分の場合は,しばらく連絡を取っていない人達を削除したら,残りは僅かなものだ。何となくだと未練たらしく連絡先が残ってしまうので,三ヶ月間連絡しなかったら削除とかのルールを決めたい。学校の同級生など,連絡を取る可能性を留保してノスタルジーを守ってきた人達のアドレスもバッサリと捨て去る。絶対に連絡を取りたくない人も削除できれば,リフォーム済みの中古住宅のように心地の良い人間関係がそこにある。仕事を辞めたら,その都度,仕事で連絡を取っていた人達も削除するなど,小まめなお掃除は欠かせない。人間関係を整理すれば,完全に遺棄しなくても目的をある程度は達成できる。それだけ希薄な人間関係でも生きていける度量の深さが都会にはあるのだ。

それでも,海外移住に駅前移住にはない魅力があれば,海外に移住する価値はある。扶養家族はいないし,定職にも就いていないし,借金もない。海外に移住できる条件は,年齢と動機以外はそろっている。海外に移住する利点を言葉で説明できた時に,動機も用意することができる。社会性という観点からではなく,他の観点から海外移住について考えていきたい。