ノマド探求

二次元移住準備記

移住の準備をするということ。

海外に移住しようと思ってから一年が経ってしまった。その間は準備期間と言いつつ,たいした準備はしていないし,移住に向けての進捗もない。そもそも準備するにしても,処分すべき荷物やしがらみは持っていないので,すぐに移住しようと思えば移住できる状態なのだ。でも移住しないのは,移住できる可能性を担保しつつ,日本で気楽な生活を送りたいからだと自己分析してみたところだ。

この停滞は今の活気のない生活に起因している。仕事は楽しくないし,没頭できる趣味もなく,おまけに彼女も友達もいないので,ただ空しく陰惨とした毎日を送っている。休日はやることがなさすぎて本気で気が狂いそうになるぐらいだ。たいてい土曜日は朝遅く起きてから洗濯と掃除を済ませ,昼過ぎぐらいに大きな本屋と家電量販店に行き,日が傾く頃まで時間を潰す。それから,しばらく散歩をし,気持ちのいい疲労感と一緒に一杯千円のビールを飲んで少しリッチな気分に浸る。適当に夕飯を済ませた後は,家で安いウィスキーと柿ピーで口を慰めつつyoutubeをぼけーと観て,眠くなったら寝て終わる。日曜日は何をしていたかという記憶すらない。一層のこと気が狂った方が楽しくなるのではと思えるほど,生きている充実感はない。しかし,移住するいつの日かのことを考えることで,自分を正気に押しとどめておくことができる。移住したら,今の生活が裏返しになるような,高揚感に満ちた幸福な生活が待っているはずだ,と信じて今を生きているのだ。

実際に移住すれば,そんな妄想で日々の空しさを慰めることはできなくなってしまう。だから移住を先延ばしにしているのが実際のところだ。もはや,自分にとって移住の準備は宗教と同じ効用を持つことになったのではないか。夢が叶えば,ただの現実になってしまうのと同じように,天国や極楽浄土だって死なないと行けないから天国であり極楽浄土なのだ。移住しても,そこが今の生活と変わらなかったら,希望は何もない。