ノマド探求

二次元移住準備記

LinuCとは何だ。

LinuCという検定の存在を知ったのは今年の初めだ。三月に最初の試験が実施されたので、認知度はまだ低いと思う。私はLPICの試験に申し込むため、LPI-JapanのWebサイトを訪れて始めてLinuCを知った。LPICを参考に日本市場に最適化したLinuxの検定ということだ。最近LPICレベル2の勉強を始めて、そのことを思い出した。

実施する団体はLPICを実施する団体と同じLPI-Japanだ。一つの団体が二つのLinuxの検定を実施していることになる。他の団体が実施するならまだしも、同じ団体が二つの、しかもほぼ同じような検定を実施する理由が分からないし、きな臭い。日本市場に最適化したLinuxの検定を謳っているが、ITの潮流はアメリカから起こるのだから、日本市場に最適化する利点が受験者には少ない気がする。確かにLPICは良くできた試験とは言えないので、LPICを補完することが目的なら理解ができる。しかし日本市場で需要の大きい技術と知識だけに試験範囲を特化するのであれば、それは日本企業側の短期的な利点にしかならないだろう。Javaが趨勢のこの時代に、汎用機がまだ動いているという理由だけで、COBOLの供給を求めるのと同じような時代錯誤に過ぎない。日本市場に最適化と聞いて私には、クラウドが隆盛し始めた時に、外からの強烈な技術革新に手のひらを返した日本の業界しか思い浮かばなかった。

LPICとLinuCの協賛企業を見ると、どっちの検定が時代の趨勢に乗っているかは一目瞭然だ。Linucの協賛企業はLinuxを使用する日本の会社だ。日本の電機大手が数社協賛しているがどれも時代に乗り遅れ、アメリカのIT企業とは大きく差を開けられた企業ばかりで、Linuxをカスタマイズしている話すら聞いたことがない。一方LPICには、LinuxUnixを独自に発展させ、世界の流通網に乗せた企業が協賛している。この違いはかなり大きいと思う。開発する側は多くの企業の要望を受けてLInuxの開発をするが、使用する側は単に自分たちの要求にあった機能しか使わないし、使えない。開発する側がその機能を新しいバージョンで採用しなければ、古い化石のようなLinuxを使い続けることになる。

事の顛末は、自分たちで検定を作ればLPIに払うロイヤリティを自分の懐に入れられると算段したのではないか。日本の受験者が全体の半分以上を占めているということだし、私のようにゲスの勘ぐりをする人間も多いはずだ。ロイヤリティを払うのが惜しくなりLinuCを作ったのだとしたら、LinuCの受験者数が伸びずにそのうち更新が止まり、LPIからもLPICの供給を止められ、日本に認知度があるLinuxの検定がなくなる未来しか見えない。受験者の利点を考えるのであれば、LPI-JapanはLinuCとLPICの違いを具体的に説明し、日本市場と最適化の定義を明確にすべきだろう。あえて資格商法に引っかからざる得ない受験者への、最低限の礼儀だと思う。