ノマド探求

二次元移住準備記

今年の夏休みはベトナムに行く。

九月に一週間の夏休みを取るので、ベトナムに行くことにした。当初の計画では、行き慣れて土地勘のあるタイでのんびりしようと考えていたが、色々と逡巡した結果、タイ旅行は断念した。

タイに行くのであれば、行きは羽田から深夜便でバンコクに飛び、帰りはバンコクから昼過ぎの便で羽田に戻るのが理想だ。夏休み前日は夜勤明けで、昼前には家に帰ることができる。少し仮眠を取ってから夕方遅くに家を出ても、羽田空港で出発前のゴールデンタイムを堪能できるのだ。この仕事が終わった開放感と出発前の高揚感に包まれて過すひと時は旅行の醍醐味の一つだ。休み明けは夜勤なので、夏休み最終日の夜遅くに家に帰ったとしても、翌日の昼過ぎまでゆっくりと休息を取れる。

候補としてはスターアライアンスに加盟するANAタイ国際航空の二択だ。ANAで私の理想にぴったりな便を見つけたが、私の夏休みの日程では航空券の割引率が低く、金銭面で条件に合わなかった。仕事を辞める前なので、夏休みの予算はできる限り抑えて、無職生活に突入した時の貯えを増やしておきたいのだ。タイ国際航空は手頃なお値段だったが、バンコク夜着早朝発の便しかなかった。スワンナプームのベンチで横になりゴロゴロと夜が明けを待つのは、この歳になるとホームレス入門みたいな感じで侘くなる。

JALスターアライアンスに加盟していないのでマイルが貯まらず、LCCの利用を考えればグッと選択肢は増えたが、さすがに六時間もコッチコッチの座席では尻がもたない。二十代から切れ痔を患い、感染傷に罹る危険性のある地域に渡航する時は、アナルへのダメージは最小限に抑えたいのだ。タイで一般的なホースを使う手動ウオシュレットは高圧洗浄機並みに水圧が強過ぎて内蔵まで洗う勢いだし、地方ではまだ紙の代わりに手桶の水で尻を洗う便所も多い。そのため、ただでさえ旅行中は衛生面で危険な状態にアナルが暴露される。最初から手負いの状態で現地に着くのは、危機管理の観点から避けたい。そんなわけで、今回はタイ旅行を見送ることにした。