ノマド探求

二次元移住準備記

次の準備。

年内に今の職場を離れようと目論見、準備を進めている。派遣元の営業には今期の契約更新前に明確に伝えているし、派遣先の責任者にも来月の初めに直接、話をするつもりだ。仲の良い同僚には、すでに辞めることは話してある。辞めると話したところで、お互いに特別な感情は持たない。ただでさえ人の入れ替わりが激しい業界だし、派遣社員が多い職場だと三ヶ月毎に人がいなくなることはザラにある。人間関係は超が付くほど良好な職場なので、惜しいは惜しい職場だ。親しくなった同僚と一緒に仕事ができなくなるのは、残念ではある。しかし、そろそろ環境を変える時機が来た。たまたま同じ職場で巡り合い、酒を飲み交わした一期一会に感謝して、綺麗に去っていこうと思う。

ここ最近は、今の職場で履歴書に書けそうなことをまとめ、次の職場を探すための準備をしている。自分の職能や実務経験を整理しコピー用紙に書き出していると、次第に履歴書の仲の自分が現実感を伴う実体から遊離し始めることがある。まるでRPGでキャラクターの育成戦略を練っている気分になるのだ。どの能力を伸ばして何の装備を揃えようかなと、モニターを前に考えているのと大して変わらなくなる。自分を客観視することとも違うし、何だか奇妙な感覚だ。

この現実感の狂いは、旅情に似ている。出発点となる馴染みのあるこの街をブラつきながら、次の冒険に向けて準備をする。この街を出ることで展開する物語に心を踊らせつつも、もう戻ることはないであろうこの街とモブキャラへの感傷が時折胸を刺激する。実体からの距離は、ゲームの中の自分も履歴書の中の自分もさほど変わらない。期待と不安が混交する高揚感で、しばしば日常が麻痺する感覚は、バックパックを背負って旅行をしている時と同じだ。職場を変える準備が、旅行をするのと同じくらい楽しくなってきた。