ノマド探求

二次元移住準備記

チャンスは選ばない。

鼻毛に白いものが混る年齢になった。頭は薄くなり、腹も縦に横にと膨らみ続ける。若い頃と違うのは、外見だけではない。年を取って人生観も変わり、チャンスは選ばないようになった。今まで散々青臭いことをして痛い目と悔しい目に遭い、体で学んだ経験則だ。現実的になったとか賢くなったとか、頭で考えて学んだこととは違う。

最近になり、また仕事探しの準備を始めたが、人生観は仕事を選ぶ際にも影響する。若い頃は、目の前のチャンスと在りもしないチャンスを比べ、手の届くチャンスを良く捨てていた。小さいことも大きいことも高望みをして、敢えて貧しい現実に停まることが多かった。仕事探しから人付き合いまで、高望みは変わらない。そうしてチャンスを選んだ結果、待ち望んだチャンスが訪れた試しは悲しいことに一度もない。半分ぐらいは、目の前のチャンスに怖じけづいていただけかもしれない。そもそもビッグなチャンスは、それが到来した時には分からないものだ。それを把んで現実になった時、時間を置いて省み、初めて分ることだと思う。そのことに気付いたのは、十年前にも満たない、ごくごく最近のことだ。

チャンスは選ばないと決めてから、何かに誘われた時は取り敢えず首を縦に振るようにしている。一度イエスと言ってしまえば、従来の気の弱さも手伝い、なかなか断ることができず運命に従わざるを得ない。一度首を突っ込んでしまえば、中華街の路上で握った甘栗のごとく、もう逃げることはできないのだ。そうやって拒むことなくチャンスを把むようにしてからも、別段人生の転機を迎えてはいない。しかし、若い頃と比べて逃したチャンスも叶わなかった望みも、特に気にならなくなった。手に入れたチャンスが自分が望んだものでなくても、また次のチャンスは必ず訪れる。そして、場数を踏むにつれ、望んだチャンスがどこから訪れるのか、それを手に入れるためにはどうやって場を馴らせば良いのか、段々とコツが分かってきた気がする。