ノマド探求

二次元移住準備記

仕事用にマウスとキーボードを買った。

前の職場では自席がなく、監視端末が置かれた席を皆で共有していた。出勤するとまず、まだ同僚のケツの温もりが残る椅子に座り、手汗で湿ったマウスとキーボードを使うことになる。せいぜい椅子の高さと背もたれの位置を変えるぐらいで、当然、マウスとキーボードを始め、デスクトップ周りを自分の使いやすいように変えることは許されなかった。今の職場では自席が与えられ、二台のノートパソコンが支給された。備品の管理は緩く、壊さない限りは個人の趣向をそれなりに反映できる。ノートパソコンにシールを貼ったり、机を食玩などで飾り立てたりはしていないが、その代わりに仕事用にマウスとキーボードを新しく買った。普段、ノートパソコンを使っていないため、パンタグラフ型のキーボードとトラックパッドに慣れず、頻繁にミスタイプしてしまうのだ。

マウスはトラックボール型のロジクールSW-M570、キーボードはFilco Majestouch 2のテンキーレス静音仕様を買った。ロジクールトラックボール型マウスは家でも使っている。使い始めは親指がつりそうになるが、慣れれば手首の負担も軽く手に良く馴染む。横一直線に伸びる境のない机を十人で共有し、それぞれがキャビネットの辺りを目安に自分のスペースを確保している。ただでさえ狭いスペースにノートパソコン二台と外付けモニターが並ぶのだ。マウスを動かす場所を取らないトラックボール型は、具合が良い。静音仕様のキーボードは、家で使っているPFUHappy Hackingと比べて、キーの抵抗が少し強い。打鍵感がないのは気にならないが、長文を書いていると指が疲れてくる。まぁ、慣れればいいだけなので、それ以外は特に不満はない。ノートパソコンは一台が庶務や資料作りで使う事務用で、もう一台は実際の機器に接続するための作業用だ。マウスとキーボード、外付けモニターは事務用のノートパソコンにつなげて使っている。両隣は在籍年数の長い派遣先の社員だ。彼らのスペースを押し戻してまで、マウスとキーボードを二つずつ置く肝っ玉は私にはない。

合計で一万五千円以上する買い物で、最初は購入を逡巡していた。お金の問題よりも、マウスとキーボードを自腹で用意したのに、すぐに辞めることになってしまったら、気合が空回りしたようで恥ずかしかった。しかし逆に考えて、マウスとキーボードを買った以上、何か辛いことがあっても一年間は今の仕事を続ける覚悟を持てると思い、購入に踏み切った。働き始めてから二ヶ月が経ち、同僚がどんな人間か、仕事は何をするのか、おおよその見当はついた。幸いなことに感情的になる人が少ないのと、仕事はそれなりに自分のペースでできるので、今のところ続けることができそうだ。