ノマド探求

二次元移住準備記

おっさんリスク。

歳を重ねるに連れて人間は偏屈になり、融通が効かなくなる。妄執にも似た固定観念、経験則にも囚われる。要するに視野が狭く、考えが浅くなる。中年を採用する際、ある種の警戒心を呼び起こす元凶だ。中年独身の派遣社員、特に求人の間口が広いシステム監視では、特にこの傾向を持つ人は多くいる。

最近、前の職場の人と飲みに行く機会があった。そこで、少し前まで職場にいた同世代の派遣社員の話題になった。そこそこ仕事ができて人当たりも柔らかく、期待の中年新人だったが、短期間で辞めてしまったそうだ。派遣された後に派遣元と揉めたことが、辞めた理由らしい。揉めた原因は、仕事内容や輪番制による不安定な勤務体系、派遣元の不誠実な対応など、割と良く聞く不満の数々だ。私も監視の仕事に就いた当初、派遣元の営業にブーブーと不平不満を訴えたのは、一度や二度ではない。就労環境を理由にすぐに辞めてしまう人は、システム監視のみならず派遣の現場では多い。そのようなリスクを派遣元も派遣先も多少は織り込み済みで、派遣社員を受け入れている。すぐ辞めるだけであれば、特に問題も起きなかった。ただ、この期待の中年新人は、それらの不満を我慢する代わりに、自分の給料を上げるよう派遣元に要求をしてしまったのだ。派遣社員でなくても賃金交渉にはタイミングがある。普通は成果を出して自身の評価を上げ、会社と部署の業績も考慮しつつ、お互いが利益を共有できるよう申し入れをする。そもそも使えない奴に金は出せないし、無い袖も振れない。真面目に就労環境を話し合っている最中に、いきなり金の話を持ち出した強引な交渉は、もちろん決裂した。不利益に対する賠償にも受け取れる賃金交渉は、派遣元にも派遣先にも金欲しさの難癖にしか聞こえないのだ。

何となく働きたくなくなっちゃったなで、辞める適当な理由も思い当たらず、派遣元に責任を押し着せて綺麗に去ろうと考えたのかもしれない。もしそうであれば、静かにバックレてくれた方が、まだ職場の同世代の中年派遣社員の印象は悪くならかった。どちらにせよ、このような悪手を打つ人は、監視の現場だと相対的に男が多いこともあり、ほぼ社会経験の未熟な中年男性だ。立て続けに常識と懸け離れた問題を起こせば、それは中年男性特有のおっさんリスクと認識され始める。私も嫌だとすぐに辞めてしまう問題の一人なので、偉そうに批判はできない。しかし、このおっさんリスクへの世間の警戒心を常に自覚して、自分への警鐘とするべきなのだ。