ノマド探求

二次元移住準備記

プチノマド。

茶店でパソコンを広げて仕事をしたり、海外に移住して現地採用で働いたりしなくても、手っ取り早く働く職場を変えてしまえば、それもノマドではないかと思った。ニートと同じく、ノマドワーカーの定義自体は人によって違う。その言葉が使われる文脈によっても変わってくる。取り敢えずノマドを、日本社会が求める社会性の希釈を目的とした生活環境改善キャンペーンとでもしておこう。喫茶店で仕事がしたいわけではない。喫茶店を仕事場にできるような個人裁量の高い仕事に就いて、堅苦しい人間関係や意味のない慣習から逃げるのだ。

ノマドに籠められた想いは過激だ。就労環境を含め、生き方全てをマルっと変える可能性さえも追求させる。ただ、水と安全はタダと謳われた日本の微温い環境で育つと、そこまで追い詰められることは少ない。どちらかと言えば、安定を約束する社会に疲れた末、仕事を辞めて世界一周旅行に出るぐらいの覚悟しか持てない人が多いだろう。ノマドワーカーか専業主婦、それともヒッピーか。社会から適当な距離を置きつつ、そこから完全に脱却しないところに、甘い覚悟が透けて見える。巧妙な自己欺瞞のカラクリを弄する凡百の自己啓発書が刊行され、実際に多くの人を惹きつけているのが、その証拠だ。カラクリの胆は、金を稼ぐ行為から金の臭いを消し、目的を自己実現にすり替えることだ。ノマドワーカーを称する人のブログに書かれた後ろ向きの言い訳が、ネットワークビジネス新興宗教の謳い文句を彷彿とさせるのも偶然ではない。ノマドを成功させるコツは、敢えて金の臭いを消さないことだと思う。

今の生活の延長でどうやってノマドを実現させるのか、ようやく答えを導き出せそうな気がする。派遣で働く職場を転々として、就労環境を変えていけばいい。ただ、職能と実務経験を次の職場に持ち込せるよう、職種を変えるのではなく職場だけを変える。私生活はそのままに社会性を希釈する、お手軽なプチノマドだ。