ノマド探求

二次元移住準備記

ゴールデンウィークがあっという間に終わる。

漫然と寝て過ごしていたら、ゴールデンウィークがあっという間に終わってしまった。試験勉強など、生産的に連休を使うつもりは毛頭なく、惜しくはあるが後悔は少ない。コロナ前のゴールデンウィークも、今年と同じように特に何もせずに過ごしていた。ゴールデンウィークは飛行機代が高いため大好きな海外旅行は控え、お金も楽しみもあとに取っておくのだ。同僚や友人と飲み歩いたぐらいだが、今考えると飲み代で飛行機代を賄えた気がする。去年も今年も連休どころか普段の休日すら旅行にも飲みにも行けず、稼いだ金は銀行口座に死蔵されている。たいした額ではないけど、有用な使い道を考えないと働く意欲につながらない。物欲はまるでなし。食欲はあるが安舌のため金はかからず、性欲を満たすにも風俗は面倒臭い。貪欲な睡眠欲を満たす費用はゼロ円だ。

ゴールデンウィーク中は頻繁に悪夢を見た。二度寝、三度寝が当たり前の生活で、それだけ夢を見る機会は多い。夢の中では肉親から友人までがランダムにオールスター天丼さながら登場し、彼らにひたすら謝っていた。移住計画に進展がない焦りと無為のまま老いる不安が、呵責を迫ったのだろうか。何に謝っていたのかは覚えていない。きっと意識に上らせたくない、やましくもあさましい過去が無意識の泥濘に沈んでいるのだ。そういう過去は掘り返さずに沈めたままにしておく方が、精神衛生上は好ましい。移住計画が進んでいない状況は、海外への渡航制限が解除されない限りは変わらない。これは準備を淡々と進めるしかなさそうだ。そうは言っても年は取る。最近、同じ職場で働いていた同年代のおっさんが派遣の契約を更新されず、職場を去って行った。新体制に移行したため、派遣社員を職場から減らすそうで、私も近いうちに上野公園で銀杏を拾う様になるかもしれない。五十代の派遣社員に会った記憶はなく、派遣社員として働けるのは、あと数年だと考えている。前例がなければ作れば良いが、派遣社員の先駆者になる心意気は持っていない。

小説の執筆に夢を乗せながら、もう少し地に足を付けた副業を今から探したい。派遣で働けなくなった時の保険で、いずれは副業から本業に変わる仕事だ。ノマドワークの必要はないし、ローリスクであればローリターンでも問題ない。リスク管理に比重を置き、できる限り安全で実入りの良い仕事を探す。街角に不穏な気配を感じたら三十秒フラットで高飛びしろと、ニールおじさんが言ってた。何か駄目になっても致命傷さえ負わなければ、挽回する余地はある。家賃や人件費などの固定費がかさむ商売は駄目だ。経営するタコ焼き屋で、閉店後にアルバイトの美人留学生にセクハラする夢は、夢のままに留めておこう。あれこれ勘案した結果、副業は情報サイトの運営が有力候補だ。

商材はエロ情報を扱う。確かにエロサイトは凡百と存在するが、その全てが競合サイトになるわけではない。むしろエロサイト連合とも言うべき共存関係にある事実は、張られた相互リンクの数から計り知れる。エロ情報を扱う理由は二つある。一つ目は、性の嗜好が世のニーズと合致さえすれば、それが天職になる。二つ目は、あらゆる局面における性衝動の凄まじい影響力だ。ベータvsVHSのビデオテープ規格競争で、競争を終焉に導いた決定打はアダルトビデオだと言われている。周りを見渡してみると、あの時、彼に金玉さえなければ、と言った本に載らない歴史は数多く存在する。川底を這う潮流のような性衝動に足元をすくわれ、人生を終了した金玉で、玉入れができるぐらいだ。エロで潮流を作るとかエポックメイクしたいとか、自己実現の野望はない。ただエロの流れに乗り、お金を稼ぎたいだけだ。