ノマド探求

二次元移住準備記

身だしなみについて。

40歳を超えると老化現象だけでなく,それまでの生き方が形となって外見に表れてくる。経験と知識が血肉となり,自信を蓄えた穏やかな笑みが魅力のロマンスグレーなナイスミドルなら大歓迎だ。しかし,私のように精神的に不摂生な生活を続けていると,顔は幼いのになぜかおっさんという得体の知れない外見になってしまう。20代から患っていたM字ハゲが35歳ぐらいから怒濤の勢いで拍車がかり,今では前頭部は露わ,頭頂部もトロロ昆布のような細い毛がのっかるだけの有様になってしまった。少し前に職場で身だしなみに清潔感がないと注意を受けたこともあり,薄毛と清潔感の関係について説明したい。

薄毛の髪型は二種類しかない。坊主頭かハゲかだ。そしてハゲには二種類しかない。綺麗なハゲか汚いハゲかだ。ハゲはいくら髪型を整えてもハゲでしかないし,かなりマメに整髪しないと汚いハゲになってしまうので,私としては断然坊主頭の方をお勧めする。坊主頭であればハゲではないし,清潔感も特典としてついてくるので一挙両得なのだ。良く整えられてはいても横から前から髪の毛をかき集めて薄毛を隠す,すだれハゲの髪型はえらく不自然で奇抜な髪型のため,返って薄毛を際立たせてしまう。もちろん綺麗なすだれハゲと汚いすだれハゲがあり,綺麗なすだれハゲであれば社会的には容認されるようだ。

ハゲが清潔感を得るために格段の配慮が必要な理由は,髪の毛の統一感,さらには指向性を得ることが髪の毛の量に比例して難しいからだと思う。この指向性は自然のままでは得ることはできない。ひげを剃るとか爪を切るとかと同じように,切りそろえた髪の毛をなでつけるなど人為的な統一感を持たせることで流れを生み出す。あえて自然を抑制することで,頭に社会性を与えるのだ。枯山水の砂紋を頭の上で描くように社会を毛髪で体現している。髪の毛が少ない場合は,この頭頂庭園の指向性は貧弱だし,指向性が損なわれるともにその人の社会性も希薄になってしまう。また,不自然で強引な髪型は,モヒカンやパンク頭のように社会への反駁と映るのかもしれない。時々,芸術的なすだれハゲにあうと感動するのは,社会への帰属意識と何か刹那的な悲壮感を感じるからだと思う。

では,お前はどうなのだと言われると,汚いハゲは嫌なので坊主頭にしている。しかし,元来不精者のため散髪に行くことなく,三ヶ月後にはただの汚いハゲとなり無精ひげと相まってほぼ変質者の様相に近くなる。一層のことツルツルであれば,まだ統一感だけでも確保できるのだが,産毛が汗で頭皮に張り付いたりして廃墟に近い殺伐とした状態になる。弁護士になった高校の同級生に性犯罪者に良くいる相貌と指摘されたように,確かに何かやらかしそうな感じが自分でもする。危ない雰囲気を醸し出していても,銀行強盗とかじゃなくて性犯罪者というのが悲しい。通勤電車の中で英語のニュースをイヤホンで聴きながらブツブツとシャドーイングしてると,結構な確率で周囲にヒンヤリした緊張感を与えているのかもしれない。

試験勉強をしていない。

来週,基本情報技術者試験を受ける。通勤電車の中で過去問をやっている以外に,特に試験勉強をしていない。試験勉強ができないのではなく,ただやっていないだけだ。午後の問題に関してはSQLの本を一冊読んだ限り,全く手をつけていない。午前の問題にしても,二進数の変換方法など計算問題は勉強していない。今後も日本に住む限りはIT業界で働く以外にまとまった金を稼ぐ方法はないと思うが,別段,パソコンをいじるのが好きなわけでもないし,できれば無職のまま旅行していたいと思っているので,そこまで身が入らないでいる。英語は好きな映画とか小説を原語で楽しみたいという,30年来の悲願があるので,継続して勉強する意欲はある。ITの勉強をしなくてはと思っているのだが,時間を確保していないし,勉強していても集中力がすぐに切れてしまう。とりあえず,あと一週間はまじめに勉強して,次につなげたい。

移住先で何の仕事をするか。

そろそろ,移住先で仕事を探すための準備を始めることにした。しかし,何をしていいのかよく分からない。とりあえずネットで調べた限りでは,タイだと日系IT企業の営業か居酒屋の店長ぐらいしか仕事はなさそうだ。それでも営業か店長の仕事があればマシな方で,何も仕事がなければコールセンターで働かざるを得ないだろう。ベトナムだとSEなんかの仕事もちょくちょくあるみたいだ。

タイで現地採用で働く場合は5万バーツから7万バーツぐらいが給料の相場で,日本円だと15万円から20万円ぐらいになる。家賃の相場を把握できていないので感覚としてぱっとしないが,タイではそこそこの給料なのだそうだ。それでもバンコクの物価を考えると,屋台で食べるチキンライスが120円から150円ぐらいなので,決して豪遊できるような稼ぎではない。日本人が考える東南アジアでの暮らしは,ほぼ駐在員並みの給料がもらえることが前提となっている。コールセンターだと相場が時給200バーツぐらいだから,月給で3万バーツつまりは12万円ぐらいなので,この稼ぎだとほぼ日本のコールセンターで働くのと同じぐらいの生活水準になるだろう。コールセンターで働く場合はワーキングホリデーだと割り切り,貯金の切り崩しを覚悟することになる。

移住先で何か商売を始めるという手もあるが,売り込める技術と知識はないし,人脈を作るところから始めるならかなり厳しい。実際に始めるのであれば,比較的敷居が低い日本人相手の居酒屋か民宿になる。ただ,初期投資にあれこれかかるし,リスクが高い割にはリターンが少ない気もする。初期投資がかからず身一つで働けるノマドワーカーが理想だけと,あれは情報商材で稼ぐ人が宣伝のために作り上げた理想像で,実際に稼げる給料などスタバでMac広げている程度では小遣いにすらならいだろう。人並みの給料を得ることができるには,それこそハッカーかベストセラー作家並みの仕事ができないと,住所不定の人間にはまともな金など稼げそうにない。ハッカーやベストセラー作家自体,理想像に過ぎないのかもしれないけど。

日本で稼いで貯めたお金を元に海外で暮らす外こもりの方法を取るか,それとも現地採用でまともにコツコツと働くか,一念発起して現地で商売を始めるか,半年ぐらいは移住先で生活しながら様子を見てみたい。それでも半年食いつなぐだけど,ある程度まとまったお金が必要になる。