ノマド探求

二次元移住準備記

四月から派遣で働くことになった。

派遣の仕事が決まり、四月から働くことになった。またシステム監視の仕事だ。運用の仕事に就きたかったけど、ことごとく書類選考で落ちてしまった。前の仕事を辞める時に用意しておいた無職期間中の生活費が尽きてしまい、仕事を選んでいる余裕はあまりなかった。

監視といっても、四年前にしていた監視の仕事と比べると内容はちょびっと高度だと思う。給料も前の監視の仕事よりは良い。ただ、監視そしてテクニカルサポートと未経験者が就きやすい職種を経験し、ITの検定も二つ取ったので、次は運用か保守の仕事に就き、そして構築へと進みたかったが、考えが甘かったようだ。監視の仕事を辞めても他の仕事に就けないため、監視の仕事を転々とする監視スパイラルにはまったとは思いたくはない。しかし、年齢と経験を考えると現実を覚悟する必要があるようだ。

こうなったら、次の職場ではIT警備員のプロフェッショナルを目指すことにする。ふてくされているわけではない。スクリプト言語で監視ツールを自作するとか、ITILを取得するとか、システム監視に必要な技術と知識を全て習得し、監視の仕事であればいつでもどこでも声がかかるようにしたい。

勉強方法が固まらない。

TOEIC S&Wテスト対策のため英文の文例集を作っている。出題される問題を予想して予め解答を用意しておくためだ。参考集の模範解答を丸暗記するのも手だが、テスト勉強と併せて英会話の勉強もしたいので、極力自分で英文を作るようにした。参考書を一冊終えたが、まだ本番で満足に解答できるほどこなれていない。また、テスト勉強を契機に英会話の勉強方法について何か妙案を思い浮かぶかと期待したけど、今のところ、それも思い浮かんでいない。勉強方法が分からないので、良いと思うこと、良いと薦められたことを可能な限り試すことにした。

TOEIC S&Wの参考書に、勉強をする際は実際に声に出すことが大事と書いてあったので、自分なりに本場っぽい発音で声に出して勉強をしている。また、自分の英語を録音して聞き返すのも良いと書いてあったので、ヘッドセットを使って自分の英語を録音して聞き返している。一人コントのような自分の間抜けな英語を聞き返していると、ウンコしているところを見られているような悲しい気分になる。羞恥心が残っていた最初の頃は、五分ぐらいでゲシュタルトが崩壊し、意識が飛びそうになったぐらいだ。ちなみに自分の声を録音する録音ソフトは、Audacityというフリーソフトを使っている。色々と機能が盛りだくさんで、ちょっと使い方が難しい。

TOEIC S&Wテストが終わったら、この勢いでオンライン英会話を始めるつもりだ。もう恥ずかしいことなど何もない。

案の定、勉強が進んでいない。

無職なので時間はたっぷりとある。たっぷりとあるのだが勉強に実が入らず、一日二時間ぐらいしかTOEICの勉強をしていない。相変わらず意志薄弱な自分を再認識している次第だ。かと言って、そんな自堕落な自分が嫌いでもない。勉強にも遊びにも使える時間がたっぷりある時は、やはり遊びに時間を使う人と一緒に遊びたいと思うからだろう。計画性重視の功利主義者と遊んでも面白いことなど一つもない。もちろん駄目な奴だとは思っているけど。

今の私には、睡眠時間と勉強時間を除いて、使える時間が一日十二時間ある。この時間で何をしているかと言うと、散歩をしたり日記を書いたりしている。残りの時間は呆けていて良く思い出せない。一日の大半を費やす散歩と日記って、なんだそれと思うが、自分でもなんだそれとは思う。散歩に出て気分が乗ってしまうと、半日以上散歩をすることがまれにある。目的もなく電車に乗って目的もなく電車を降り、そして道に迷って時間は過ぎていく。リュックを背負って旅行する時もこんな感じなので、旅行に行けない代償としてこんな行動をしているのかもしれない。日記は十八歳の時から付け始めて四半世紀を超える。付け始めた当初はこの世への怨嗟を書き綴る閻魔帳になりかけたが、しばらくすると不気味な叙述詩の様相を呈していき、そして現在に至る。ただし誰に向けて書いているのか、自分でも分かっていない。

日記は日々の活動を記録する以外に、私にはもう一つの重要な役割がある。日記を書いている時の筆の乗り具合で、生活の充実度を客観的に測るのだ。何も書くことがなく困る時は、惰性で生きている時と判断し、何か新しいことをするように心がけている。新しいことであれば何でも良い。今まで読んだことのない分野の本を買ってみるとか、行ったことのない家電量販店に行くとか、自己完結できる変化でも良いし、あまり面識のない人と飲みに行くとか、それこそ思い切って職を変えるとか、展開の読めないことでも良い。何かしらの変化を生活に取り込むことで、当面は退屈せずに済む。行動が先に起きて日記を付けるのではなく、日記を付けるために行動を起こすのだ。日記に何かを書くために日記を付けているので、いささか酔狂ではあるけど退屈するよりはマシだと思って、日記を付け続けている。

こんな感じで、途中で食事を取ったり休憩を挟みながら散歩をしたり日記を書いたりしていると、思いの外時間は早く過ぎていくものだ。