ノマド探求

二次元移住準備記

十月後半に香港に行く。

十月になれば、やっと有給が十日間出る。夏休みの代わりに二泊三日で香港に行くことにした。本当は一週間ぐらい休んでベトナムに行きたかったが、職場には代わりにシフトに入る人を自分で探さないと休みが取れないクソのようなルールがある。新しく入った人は気軽に頼める人がいないので、結果として長期休暇は取れない。だから人に余裕がある日に有給を一日だけ使うことにした。

予算は飛行機代と宿泊費、食費など現地で使うお金を含めて五万円だ。最初は台湾に行こうと思っていたが、休める日を探しているうちに飛行機代が高くなってしまったので、そんなに高騰していない香港に行くか沖縄に行くかでしばらく迷った。日本語が通じる沖縄はジジイになってからでも遅くはないので、中国の一部になって最近何かとキナ臭い香港に刺激を求めて行くことにした。空港税などの諸費用を合わせて二万五千円強で航空券を買うことができた。

今月の初めに飛行機を押さえ、そろそろ宿でも取るかなと、この二、三日宿を探していたが、香港は宿代が恐ろしく高いことが分かった。二泊で一万円も出せば、そこそこ清潔な宿に泊まれると思っていた。ドミトリーでさえ、モダンで清潔な台湾と違って昭和を感じさせる牢獄のような宿しかない。飛行機もLCCで倉庫のようなターミナルから出発するし、もう修行でしかない。旅行気分が一気に萎びた。今から十月の後半が憂鬱になる。

香港は移住の候補地ではない。行くからには美味しいものは食べるが、移住の下調べをする気はない。宿は不快だろうし、金と体力を温存するためスタバあたりで時間を潰そうと思っている。最近、気合いを入れいないと読めない本を読んでいないかったので、これを良い機会に小難しい哲学書でも読んでみようと思っている。台湾に行くならノマドPCの試験運用のために古いレノボのノートパソコンを持っていこうと思っていたが、香港に持っていくのは面倒臭いので止めた。

やろうと思った時が最良の機会。

実はオンライン英会話は七年ぐらい前に一度、お試しレッスンを受けたことがある。レッスンの受け方が分からなかったし、講師の若いお姉さんは初心者に慣れていなかったようで、気まずい沈黙が続く中、25分間をひたすら耐えるレッスンになってしまった。英会話ができるようになるには、TOEICの勉強とは違った勉強が必要であることはすでに認識していた。意を決して一ヶ月間ぐらいレッスンを続けてみれば良かったが、そのまま楽なTOEICの勉強に戻ってしまった。オンライン英会話を受け始めて三ヶ月が経ち、レッスンの総計は40時間を超た。わずか40時間でも英会話の上達を実感できる。講師の多くが度々言うように、英会話を上達するには英会話を実践するしかない。七年前にオンライン英会話を始めてたら、今頃はペラペラだったに違いない。

英会話だけではなく、何事もそれをやろうと思った時が最良の機会だと思う。とりあえずやってみることだろう。未だにフリーターだけど四十年以上生きて思うことは、人生は言った者勝ち、やった者勝ち、楽しんだ者勝ちであるということだ。海外への移住も同じことで、行って住んで働いてみれば良いにしろ悪いにしろ結果は出る。このまま派遣で働き続けてもパッとした人生にはならないし、新天地を求めて日本を離れるなら早い方がいい。

なんだか忙しい。

IT警備員の仕事が、ここ最近忙しい。監視する拠点が倍に増え、仕事量が急増したためだ。残念なことは、仕事の質が高くなったらではなく、単に仕事の量が増えたから忙しいことだ。仕事量が増える前は、夜勤でそこそこ勉強する時間を確保できたのだが、今は休憩を取る暇もないぐらいだ。

仕事は輪番制なので、日勤と夜勤に交代で入る。最初は上手く睡眠時間を調整できなくて睡眠障害になった。色々と試すうちに何とか調子を掴めたけど、夜勤で質の良い仮眠を取れることが前提となる。仮眠を取れなかった時は、夜勤明けは睡魔に耐えきれず昼前から夕方まで寝てしまう。そうすると大きく睡眠時間がずれ、しばらく睡眠障害が続くことになる。

一時的な忙しさであれば我慢できるが、派遣先は仕事量も減らさないし人も増やさないということなので、そのうち崩壊するだろう。今でも一、二ヶ月に一人、人が抜けていくのに、頭数さえ揃っていれば何とかなると考えているようだ。モニターを見ているだけのIT警備員だって、現場に慣れるまでは頭数に入らないし、それなりに経験則が物を言う事態も起こる。馬鹿にしてんなコイツらと思いつつ、こんな仕事から抜けられない自分が悲しくなる。