ノマド探求

二次元移住準備記

相変わらず気乗りがしない。

今月末に約二年ぶりにTOEIC L&Rテストを受ける。すでにTOEICの呪縛は解けたが、そろそろ次の職場を探し始めようと思っているため、その準備の一環として受けることにしたのだ。

試験に申し込んだ三月の始めは、目標として900点、最悪800点台維持を狙い、試験対策に充分な時間を割くつもりだった。しかし試験まで一ヶ月を切った今、気乗りせず、あまり勉強をしていない。今回は公式問題集を中心に勉強をする計画だったが、スタディサプリというeラーニングを使って勉強をしている。公式問題集の難点として、リスニング問題を聞き返す際に携帯音楽プレイヤーを操作する手間が煩わしさがある。わざわざテキストを開かないといけないのも、それ相応の心の準備が必要で気軽に勉強を始めることができない。その点、eラーニングだと単にwebブラウザーを開いてポチクリとクリックするれば問題が再生できるし、2chまとめサイトを読む合間でも勉強できる。調子が乗れば、そのまま勉強を続ければいいし、疲れたらまた2chまとめサイトで気分転換ができる。

問題はTOEICで高得点を取っても、それだけでは英語を使って仕事ができるようにはならないことだ。現に900点ホルダーでも簡単な英会話すらできない人の話は良く耳にする。TOEICの勉強は英語を使って仕事をする準備に過ぎない。英語を使う準備をしているだけでは、英語を使って仕事をする能力を会得することまではできないのだ。必要なのは英語を使って何かをする経験なのだと思う。準備をしているだけの生活が続くことを考えると、うんざりする時がある。港町で航海の準備をするまま、船に乗ったことがない自称船乗りと同じだ。このままだと、いずれ船乗りが年老いて港から海を眺めながら航海に出なかったことを悔いるように、何もしなかった自分を責める時がいつか来るだろう。

独身中年派遣社員の複雑な心情。

独身の中年派遣社員は、誰しもどこかしら捻くれていて、他人に対して構えているように思う。年老いた野良犬と同じで、人に対する接し方が下手クソでぎこちない。当然、そんな野良犬を構ってくれる特異な人は、新興宗教ネットワークビジネスの勧誘など何かしら裏がある人が多く、ますます独り身を拗らせる悪循環となっている。プライドが高いわけではない。単に心を開いた人や好意を寄せた人に失望し失望されるのが怖くて近づけないだけだ。でも人恋しくて仕方がなく、ちょっとでも優しくされると途端に忠実な番犬へと成り下がる。その複雑な心情は、自閉症気味の中年殺し屋が薄幸の美少女に思い入れした挙句に自滅する、某ロリコン映画に詳しいのではないか。

職場の同僚は大半は十歳以上も歳の離れた若者だし、派遣先の管理職の人ですら同年代か年下だ。職場では年下であっても仕事で先輩に当たる人や派遣先の社員には、そこいらの社会人に倣ってへーこらとしてみたりする。卑屈な態度を取っても、それで調子づく若い人がほとんどいないので、正直すごいと思う。むしろ判断に迷ったり困ったりした時は普通に気遣ってくれるし、ミスをして不味い状況に陥った時は甲斐甲斐しく助けてもくれる。人としての格が私と違うのかもしれない。

若い人の肥やしになるのは嫌だなと思う反面、今の職場にいるような良くできた若い人に夢を託して死んでいくのは、それはそれで良いに死に方なのではないかなと、ふと思ったりもする。

ふと魔が差す時。

ふと魔が差して、仕事も勉強もどうでもいいやと思う時がある。その時は待ち受ける暗澹たる未来を想い返し、それが嫌なら働け学べと自分を急き立てることで、やると決めたことから逃げないようにしてきた。

派遣社員のまま、あと十年働き続けることは無理だろう。職場で同じ仕事をする同僚の多くは二十代の若者だ。市場価値の高い職能と豊富な実務経験があれば別だが、システム監視の職場に入ってくる同僚の大半は、ITの知識も業務経験もあまりないか、全くない。別にそれでも問題ないのだ。だから、若者を差し置いて偏屈なおっさんを採る道理はない。仕事のできるできないに年齢は関係ないと言う人もいるけれど、残念ながら年を取るに連れて人は頑迷になっていく。例え仕事ができたとしても、若い者に頭を下げ、素直に教えを請える人は少ない。自分を含めて同僚のおっさん連中は、長いこと社会から小突き回された影響で心が歪んでしまい、思春期の少年少女と同じくらい扱いが難しい。人に優しくできるほど、他人から思いやりを受けた経験も少く、概してただの老害と化している。

近い将来の困窮に備え、今一度気を引き締めて勉強をしようと思う。不安を感じたら何か勉強をしろと、常に自分に言い聞かせてきた。勉強をすることで少しでも希望が持てるのであれば、将来に絶望して消沈するよりも、まだ楽しく生きることができる。