ノマド探求

二次元移住準備記

検定を受ける意味。

f:id:freetersurvival:20210322090825j:plain

来月の中旬に応用情報技術者試験を受ける。二度目の挑戦だ。試験勉強に集中するため、今週末は横浜市内のホテルに滞在している。欲望が満たされるまでは我慢ができない困った性分で、アーモンドチョコにしろ柿ピーにしろ、あればあるだけ食べてしまう。試験勉強をしたご褒美に飲もうと買ったビールも勉強をする前に飲んでしまい、先週末は飲んだくれてAPEXをしていたら終わってしまった。APEXはまだ操作に慣れず、何もできないまま殺され続けてストレスは溜まるが、試験勉強よりは楽しめる。その反省から今週末は欲望の源を全て家に置き、let's noteと過去問題集だけを持ってホテルに来た。

同僚と検定の話になると、大抵は今熱い検定はどれかという話題に行き着く。奨励金が出る会社に勤めていれば、自ずと受験する対象は絞られる。登録型派遣で働いている場合は、次に移る職場を考えて受ける検定が選ばれるだろう。IT業界でインフラ関連の仕事に就くのであれば、最初に受ける検定はほぼCCNALPICレベル1に絞られる。基本情報技術者試験などの情報処理試験は持っているに超したことはないが、未経験者は先の二つの検定を優先したい。これには理由がある。未経験者は当然即戦力を期待されない。コマンドを知っていても、どういう状況でそのコマンドが必要になるかを知らない限り、ただの知識に過ぎない。そもそも職場でコマンドを自由に打てる環境など、習熟用に用意された環境以外にはないだろう。では、なぜほぼ修行にも近いコマンドを覚える勉強が評価されるかと言えば、試験勉強に時間と金を投資した分、その投資を回収しないまではIT業界からは離れないだろうという、やや屈折した雇用側の算段があるからだ。

私は派遣社員を雇う側に立った経験が、一度だけある。IT業界に入る景気となった最初の職場は、監視業務を請け負っていた会社の契約社員として雇われた。人の入れ替わりが激しい職場で一年も経つと長老となり、時給はそのままリーダー格に昇格して、派遣社員との面接に数回ほど参加した。採用条件は日本語が話せればOKの社会福祉を兼ねたような職場だったが、この経験は雇う側の心理を理解する助けとなった。雇う側が一番欲しい人間は、可能な限り長く勤めてくれる人間だ。仕事を覚えるまで個人差はあるとしても、それまでは戦力にはならず、時間の投資に近い。OJTの間に思っていた職場と違うと言い出し辞められるのが、精神的に一番応える。まだ期待外れの人間であっても、働き続けてくれる人の方が嬉しい。現実的に理想の給料はあっても、理想の職場なんてどこにもない。それを受け容れられない流浪の民に無駄な時間を投資してしまった悔しさは、なけなしのボーナスを全額クソ株につぎ込んだ、安月給の夢見るサラリーマンに近いものがある。

確かに素養や意欲はあった方が良いが、強すぎると踏み台にしてさらに高度で良い条件の職場にすぐに移ってしまう。それでも次の職場での評価を考えれば、最短でも一年ぐらいは働き続けてくれるかなぐらいは計算はできる。そうそう派遣社員に過度な期待をする職場は少ない。所詮は社会からあぶれた訳ありの社会不適応者ぐらいにしか思われていない、と思っていても間違いはない。露骨に表には出さないが、今まで勤めた職場は全てそんな感じだった。自分でもろくでもない人間だと自覚しているが、他人からそう思われて何も感じないわけではない。ただ、派遣先の会社に人間不信に陥るようなトラウマを植え付けるひどい辞め方をした人がどの職場にもいたので、そういう見方も理解はできる。

趣味を作る。

海外移住に向けた準備の一つが、趣味探しだ。今まで趣味と言える趣味はなく、趣味は何ですかと聞かれる度に答えに窮したが、別に趣味を持っていなくても問題はなかった。面倒臭いと思いつつ職場に出勤し、仕事が終わればプラプラと家に帰る。休みの前は暇な同僚と一緒に、開放感に満たされながらご飯を食べて酒を飲む。そんな些細な時間が人生に意味を与えていた。現状に満足していなかったが、特に不満はなかった。リモートワークを始めてから、その考えが変わった。時間を持て余すようになってしまった。職場に出勤していた時、暇な時間はご褒美の一つだったが、今は退屈に感じるだけなのだ。

刺激の乏しい日常は、働く意欲を弱める。終日、家に籠もっていると一日の区切りをつけるには、酒を飲むぐらいしかない。さらに自粛ムードの中、行く当てもなく休日を一人で過ごし、仕事と私生活の境が曖昧になった。時間だけが空疎に過ぎていく。何か暇潰しを兼ねた、活力を与えてくれる趣味の必要性を痛切に感じた。海外に移住しても現地のコミュニティーに参加できるまで、同じような状態になるだろう。しかし、いざ趣味を持とうと思っても、これがなかなか難しい。何が楽しめる趣味なのか、自分でも分からないのだ。趣味は楽しくなければ続かないし、ストレスを感じてしまったら、仕事のご褒美にならない。色々と考えた末に趣味は探すよりも、趣味は作るものだと気付いた。他人の評価がどうであれ、自分が楽しめる時間を作れれば、それが趣味なのだ。

贅沢だが趣味にも条件がある。どこでも遊べる、道具を持ち運べる、コミュニティーに参加できる、この三つが条件となる。条件の二つに合致する趣味がスマホや携帯ゲーム機で遊べるテレビゲームだ。ゲームも色々あって、自分が楽しいと思うゲームを探すためには、とりあえずそのゲームで遊んでみるしかない。というわけで、先週から配信されたAPEXというFPSゲームを始めた。これがむちゃくちゃ難しい。とにかく操作に難儀し、移動するだけでも相当にストレスが溜まる。遊ぶためには慣れが必要で、ある程度の練習をしないと楽しくならない気がした。草野球に参加しても、野球の基礎が備わっていないと楽しくないように、APEXで遊ぶためにはそれなりの基礎が必要なのだ。すぐに身に付くかどうかはセンス次第だろう。しばらく遊んでみないと楽しめるかどうかは分からないので、しばらくは頑張るつもりだ。

 

 

家で老いる。

ほとんどの時間を一人で過ごすようになってから、一年が経とうとしている。リモートワークになってから、平日は終日家に籠もる生活が続く。昼休みはお昼寝に充て、終業後に食料品の買い出しやジョギングに行くぐらいしか、外出しない。出社する義務はなく、むしろ完全リモートワークが励行されているため、同僚と直接会う機会は滅多にない。友人と会う機会も月に一回あるかないかだ。緊急事態宣言の影響で多くの飲食店が休店か閉店し、そもそも家族がいる友人の多くは自重に務めている。休日も家にいると気分が塞ぐ。気分転換にホテルに滞在したり、電車に乗ってどこかに行くように心掛けている。それでも天気の悪い日や気分が乗らない時は、休日も家で時間を無為に潰す。一人で過ごす時間には慣れたが、夢中になれる一人遊びは未だに見つからない。終業や休日が待ち遠しくなるような一人で遊べる趣味が欲しい。海外に移住した時や世界にゾンビが蔓延した時にも、そういう趣味は必要になると思っていて、かなり前から探していた。

必要に迫られるように、暇潰しと気晴らしの目的を兼ねて今年の初めに任天堂Switchを買った。何か手段を手に入れると満足してしまう悪い癖がここでも出て、そのまま家電量販店の箱からすら出さず、最近まで放置していた。そこで同じように一人の時間を持て余した、前の職場で仲良くなった元同僚達と野球ゲームを買い、週末はオンライン野球大会をしようと考えたのだ。しかし、一人の時間に慣れてしまったせいか、皆で申し合わせてせーのでオンラインするのが面倒臭く、盛り上がっていない。ゲームの選択を誤った気もする。最初はパワフルプロ野球で遊ぼうと話していたが、どうやら操作が難しいらしいぞと議論が起こり、結局Amazonで定価の半額程度で投げ売りされたファミスタに皆で飛びついてしまった。これがなんとも微妙な野球もどきのゲームで面白くない。野球好きのおっさん達は勝ち負けのゲームがしたいのではない。野球ロールプレイングゲームがしたいのだ。この要求をファミスタは叶えてくれなかった。

一人遊びは諦めて、しばらくは応用情報技術者試験の勉強をする。やることがないので仕方がない。検定や資格の勉強は、暇潰しには成るが趣味にならないだろう。趣味は生産的かどうかではなく、その時間を楽しめるかどうかで決まる。趣味だけでなく、将来に楽しみを先送りする生き方は、時間を無駄遣いする野暮な生き方だと思う。刹那的に生きようというのではない。生産的でなくても、その時にしかできないことは優先的にやりたい。今は時間が取れないので我慢して、定年後に好きなように旅行をするぞと意気込んで働く人は、定年後は好きなように旅行ができないことに気付いていない。二十代、三十代でバックパックを背負って行く貧乏旅行と、六十代で添乗員に手を引かれて行く養老旅行は、根本的に違う。同じように思えても年齢が変われば全く異質のものになる。チンポが起つ機会は二度と訪れない。趣味も同じようなものだと思っている。