ノマド探求

二次元移住準備記

家で老いる。

ほとんどの時間を一人で過ごすようになってから、一年が経とうとしている。リモートワークになってから、平日は終日家に籠もる生活が続く。昼休みはお昼寝に充て、終業後に食料品の買い出しやジョギングに行くぐらいしか、外出しない。出社する義務はなく、むしろ完全リモートワークが励行されているため、同僚と直接会う機会は滅多にない。友人と会う機会も月に一回あるかないかだ。緊急事態宣言の影響で多くの飲食店が休店か閉店し、そもそも家族がいる友人の多くは自重に務めている。休日も家にいると気分が塞ぐ。気分転換にホテルに滞在したり、電車に乗ってどこかに行くように心掛けている。それでも天気の悪い日や気分が乗らない時は、休日も家で時間を無為に潰す。一人で過ごす時間には慣れたが、夢中になれる一人遊びは未だに見つからない。終業や休日が待ち遠しくなるような一人で遊べる趣味が欲しい。海外に移住した時や世界にゾンビが蔓延した時にも、そういう趣味は必要になると思っていて、かなり前から探していた。

必要に迫られるように、暇潰しと気晴らしの目的を兼ねて今年の初めに任天堂Switchを買った。何か手段を手に入れると満足してしまう悪い癖がここでも出て、そのまま家電量販店の箱からすら出さず、最近まで放置していた。そこで同じように一人の時間を持て余した、前の職場で仲良くなった元同僚達と野球ゲームを買い、週末はオンライン野球大会をしようと考えたのだ。しかし、一人の時間に慣れてしまったせいか、皆で申し合わせてせーのでオンラインするのが面倒臭く、盛り上がっていない。ゲームの選択を誤った気もする。最初はパワフルプロ野球で遊ぼうと話していたが、どうやら操作が難しいらしいぞと議論が起こり、結局Amazonで定価の半額程度で投げ売りされたファミスタに皆で飛びついてしまった。これがなんとも微妙な野球もどきのゲームで面白くない。野球好きのおっさん達は勝ち負けのゲームがしたいのではない。野球ロールプレイングゲームがしたいのだ。この要求をファミスタは叶えてくれなかった。

一人遊びは諦めて、しばらくは応用情報技術者試験の勉強をする。やることがないので仕方がない。検定や資格の勉強は、暇潰しには成るが趣味にならないだろう。趣味は生産的かどうかではなく、その時間を楽しめるかどうかで決まる。趣味だけでなく、将来に楽しみを先送りする生き方は、時間を無駄遣いする野暮な生き方だと思う。刹那的に生きようというのではない。生産的でなくても、その時にしかできないことは優先的にやりたい。今は時間が取れないので我慢して、定年後に好きなように旅行をするぞと意気込んで働く人は、定年後は好きなように旅行ができないことに気付いていない。二十代、三十代でバックパックを背負って行く貧乏旅行と、六十代で添乗員に手を引かれて行く養老旅行は、根本的に違う。同じように思えても年齢が変われば全く異質のものになる。チンポが起つ機会は二度と訪れない。趣味も同じようなものだと思っている。