ノマド探求

二次元移住準備記

どうやって独りの時間を耐えるか。

ゴールデンウィーク中は、ほぼ家にいた。時間は腐るほどあると言うか実際に腐ったが、勉強する気は起きず、オンライン英会話のレッスンを受ける以外は、spotifyで音楽を聴きながらkindleでガイドブックを読んでいた。何もしていないが、何だか疲れが溜まった。暇疲れという言葉がぴったりくる。爽快感も達成感も充実感もない連休だった。

一人遊びが得意な人は、こういう状況では圧倒的に有利だ。私の友人にも、独りで家に篭っていても、たいして疲弊しない人が数人いる。ただ、彼らの生活習慣を参考にはできるが、見習おうとしても無理だろう。何かをするために独りの時間を持ったのではなく、単に独りでいる時間が長かったため、その耐性がついたように思えるからだ。鶏が先か卵が先か、どちらが先かは分からない。一人遊びを会得すれば独りでいる時間に耐性がつくのか、それとも独りでいる時間に耐性がつけば、一人遊びが得意になるのか。恐らく物事の裏と表のように、単に見方の違いだろう。そこで、この連休中に家で一人で過ごす時間の使い方を色々と工夫してみた。

まずは、栄養状態の改善と同時に暇潰しを兼ねて、外食中心の生活から脱却を図るため冷蔵庫を買った。しかし、自炊への想いと裏腹に早々とビール貯蔵庫となり、痛風への階段をさらに駆け上がる結果となった。それでも、好きな音楽とガイドブック、酒とツマミさえあれば、独りでいる時間に退屈するけど、あまり苦にはならないと分かった。しばらくは、クラフトビールでも飲みながら机上旅行を楽しんでみる。暇を潰すために、必ずしも積極的な趣味を作る必要はない。人によって得手不得手があるように、向き不向きはあるだろう。他の一人遊びが得意な人を参考に、色々と試してみようと思っている。

楽しく時間が過ぎるのを待つ技術。

リモーワークに始まり、非常事態宣言が延長された中での連休で、独りで過ごす時間に耐性がない事実に気付いた。一人で旅行した時に暇を持て余す機会は多々あるけど、それとは質が異なる。無職の時に一人で過ごす時間とも、ちょっと違う。端的に言えば、強制されて独りになるか、ならないかの違いだろう。

私は歳の割には頻尿で、さらには不意の便意に襲われる時がある。鋭い杭で体の内側から肛門をねじ開けられるような、強烈な便意だ。スターウォーズ・エピソード1の序盤で、クワイ=ガン・ジンという浮浪者みたいなおっさんが、鉄の扉をグイグイとライトセーバーで穴を開けるシーンがある。あんな感じで、肛門に神だか悪魔だかの悪意が突き刺さってくるのだ。だから家の外に出たら、ボーイスカウトに入っていた頃に習った備えよ常にの教えを実践し、常にトイレの存在と場所を確認している。トイレにいつでも行ける環境であれば、軽い尿意ぐらいなら我慢できる。むしろサディスティックなまでに、その尿意を楽しむ時すらある。しかし、トイレがない環境だと、尿意や便意を感じなくても、自分の可能性をごっそりと剥ぎ取られた、得体の知れない閉塞感に襲われる。この連休中に感じる暇を持て余す感覚も、それに近い。

非常事態宣言中に自宅で過ごす時間には、潰すという表現は適切ではない気がする。私の場合は、時間を過ぎるのを待つという表現がぴったりとくる。検定の勉強などをして生産的に時間を使いたくはないが、楽しく時間が過ぎるのを待つ方法が分からず、結果として暇を持て余してしまう。楽しく時間が過ぎるのを待つ技術がないのだ。観たい映画も読みたい本もないわけではないが、今はその気が起きない。ネットサーフィンをしたり、Youtubeで動画を渉猟したりするが、二、三時間が限度だ。楽しく時間が過ぎるのを待つ方法は、趣味とは違う。趣味は、そのために苦労してでも時間を作るが、楽しく時間が過ぎるのを待つために敢えて時間は作らない。これを良い契機として、楽しく時間が過ぎるのを待つ技術を身に着けようと思う。

 

冷蔵庫には酒とツマミだけ。

冷蔵庫が家に到着してから一週間経った。自炊をするために冷蔵庫を買ったが、ビールと炭酸水がほとんどの空間を占めていて、肝心の食糧は少ない。買い物には行くが、献立が思い浮かばずに何を買えば良いのか分からないのだ。とりあえず、ビールの隙間に豆腐とネギなどの薬味、リンゴとヨーグルトが入っている。どれも調理する必要はない食べ物だ。徐々にメンマなどの日持ちする惣菜も揃えて、酒の肴だけは充実させるつもりだ。ちなみに冷凍室にはウィスキーしか入っていない。

やはり自炊は面倒臭い。弁当を家で食べると汚れた容器が出るので、これを捨てるのもまた面倒臭い。外食が一番楽だ。それに狭い部屋で独り、ご飯を食べてると息が詰まりそうになる。出社できていた頃は、時間が合えば同僚と昼食を取っていたし、週末は誰かと飲みに出歩いていた。社会性が希薄な環境でも問題のない人はいる。しかし、私には無理なようだ。リモートワークを始めて、自分で思っていた以上に、独りで過ごす時間に耐性がないと気付いた。不思議と長期旅行や無職の時に独りで過ごす時間は、そこまで辛くない。自ら進んで独りになる環境と、強制的に独りにされる環境だと違うのだろう。海外に移住した時は、職場や日本人のコミュニティー以外に、週末の暇な時間を潰せるコミュニティーにも入っておかないと、気が狂ってしまうかもしれない。

今週末から来週末まで九連休を取る。当初の予定では台湾に行く予定だったが、四月の初めに、乗る予定だった飛行機の運休が決まった。友人は外食を敬遠するし、何の予定もないゴールデンウィークになる。暇潰しに、spotifyに続きAmazonkindle unlimited に加入した。漫画目当てで入ったが、読み放題の漫画は少なかった。酒でも飲みながら、ガイドブックや旅行記を読んで、時間を潰そうと思っている。これは、独りで過す時間に耐性をつける訓練にもなる。