コロナウィスルによる海外への渡航制限がかかる前は、夏休みは毎年、海外旅行に行っていた。観光が主な目的ではない。倦んだ日常生活から離れ、異国の生活環境で気分転換を図るためだ。地縛霊のようなしがらみを一時的にでも捨て、身も心も軽くして人間性を取り戻すのだ。別に滞在先は海外でなくても良いが、できれば全く日本語が通じず、生活習慣が異なる環境の方が、綺麗に捨てやすい。働いていると滞在できても一週間程度だが、この禊ぎをするかしないかで、日本での日常生活は全く違ってくる。
去年から旅行どころか飲み会にすら行けず、倦怠感が拭えない。生に対する興味すら、薄れてきた気がする。今年は八月に一週間ほど夏休みを取る予定だ。以前であれば、海外旅行で丸々夏休みは潰れたが、今年もアクティビティは国内に限定される。夏休みを一日単位に分けて、計画を立てようと思う。新しく趣味で始めた日帰り登山には、天気が良ければ行きたい。ホテルステイをしてノマドワーカーごっこもする。それから、残りの夏休みを使い、何か新しいことに挑戦する。
考えている新しい挑戦の一つが、コンカフェデビューだ。コンカフェでなくても、マニアが集うディーブな店に行ってみたい。海外旅行を社会性の膿が自然に漂白される浄化作用に例えると、コンカフェ巡りは頭を棍棒で叩いて悪霊を追い出す荒療法だろう。カルチャーショックを求める気持ちは変わらないが、コンカフェは精神的ダメージを追う可能性がある。慎重に店を選んでデビューしようと思う。
