ノマド探求

二次元移住準備記

バックパッカーにスマホはいらない。

どうも最近、バックパックを背負って旅行しても面白くない。これは歳のせいかと思っていたけど、それは違うようだ。つまらなくなったのは、スマホを使うようになったからだと気付いた。

五年ぐらい前にSIMフリースマホを買った。旅行する時は旅行者用のプリペイドSIMを旅行先で買い、日本で使っているSIMと差し替えるだけで、いつでもどこでも必要な時にネットに繋げられるようになった。スマホを使えば、宿はagodaなどの予約サイトで簡単に取ることができるし、レビューを参考にすれば外れを引くことはほとんどない。駅から宿までグーグルマップで迷うことなく辿り着くことができる。その結果として、時間を節約した分、時間を持て余すようになってしまった。その日の宿を必死こいて探すドキドキ感も、道に迷いながら現地の人とコミュニケーションを取る充実感も、陽が暮れて宿もなく腹を空かせたまま途方に暮れる絶望感も味わえなくなった。RPGを攻略本を参考して進めていくような、味気のない旅行になってしまったのだ。

私がバックパックを背負って旅行をする、そもそもの目的は時間を浪費することにある。日本では効率一辺倒のタイムテーブルに縛り付けられていた自分を、異国の地で開放することが目的なのだ。確かにスマホを使えば、嫌な思いもあまりせずに楽に旅行ができる。滞在時間をフルに使い、観光名所や美味い料理屋を効率良く巡れる。ただ、それが本来の目的ではない。快適な寝床を探すために一日を費し、肉体言語を駆使して町から町へと移動する。そして胃とキンタマが赴くまま、路地裏へとさ迷い込んでいく。この時間を浪費する自由こそ、異国の地で求めるものなのだ。

歳を取ったから、バックパックを背負って旅行をしても面白くなくなったのではない。歳を取ったから、スマホはいらないと分りつつもスマホを使い続けるのだろう。