ノマド探求

二次元移住準備記

価値観が変わる。

少し早いが今年を振り返ってみる。一言で言うと、渡航制限のために海外旅行に行けず、消化不良気味の一年だった。いつも年に二、三回の海外旅行を餌に就労意欲を保ってきた。そのため、今年は夏辺りから働く気が失せてしまった。幸い職場は完全リモートワークに移行したので、ダラダラと仕事をしても同僚にはばれない。始業三十分前に起床し、コーヒーを飲みながら2ちゃんのまとめサイトなどをチェックするのが、平日のモーニングルーティーンだ。それから始業と同時に朝ご飯を食べ始め、朝礼後にメールを確認したり、その日片付ける用件を頭の中で整理していると、すでに十一時を回っている。仕事をしながら少し早めに昼食を取り、お昼休みジャストで昼寝をする。なので、エンジンがかかり始めるのは、お昼休み後からになる。もちろんエンジンがかかっても、急にシフトチェンジすると頭の血管が切れてしまう。塩分濃いめの味付けで育ってきたため、血圧は同世代に比べると高めだ。体調を気遣いながら、夕方まで低速シフトでノロノロと仕事をし、仕事がなくなれば定時で終業する。その日やらなければいけない仕事があれば、定時後が勝負となる。とは言っても、お腹が空いて八時ぐらで限界が来る。こんな調子で仕事をしているから、全く成果は上がらない。幸い緩い職場で、うるさい小言は言われていない。三ヶ月毎の契約が更新されなければ、静かに職場を去るだけだ。ただ、仕事が楽な代わりに充実感もない。リモートワーク前は、平日にガリガリ働き、週末はベロベロに飲んだくれて充実感を得られたが、それがない。

コロナの自粛期間中に、惰性で飲み歩いていた友人とは縁が切れた。海外移住前に人間関係を整理しようと思っていたので、ちょうど良い機会だった。またコロナの患者数が増えてきてきたが、少し前に小康状態となった時も連絡は取らなかった。週末を独りで楽しむための過ごし方が色々あると分かり、それで満足している。最近はlet's noteの購入を機に、週末はホテルに滞在して小説を書いている。まだ脱稿には時間がかかるが、念願のノマドワーク獲得に一歩近づき、心が躍る。小説の執筆は仕事と違う頭を使い、ジョギングに似た程好い疲労感も気持ち良い。宿は家から近い場所だと、あまり面白くない。いつでもタクシーで家に帰れる距離のホテルに泊まっても旅情が湧かない。通勤圏内ギリギリぐらいで、終電がなくなればホテルに泊まるしか選択肢がない距離で、ちょうど良い。ちょっとした出張気分の高揚感を気軽に味わえる。

日常生活の価値観にも変化があった。家で過ごす時間が長いため、家を居心地の良い空間する意識が出てきた。元来物欲は少なく、貧乏生活が長いために極端な吝嗇家になったが、リモートワークが始まった後は、家を快適な空間にするために、そこそこ散財した。リモートワークが始まる前は、家は主に寝るための場所だった。ご飯は仕事のある日は朝昼夜と全て外食だし、休日は外で友達と飲み歩くか、実家に寄るか、まれに一人で過ごす時は牛丼か弁当で簡単に済ませていた。リモートワークが始まってからすぐに、近所の飲食店が一斉に休業してしまい、食料を家で保存する必要があり、冷蔵庫と電子レンジを購入した。また、家でずっと仕事をしていると無音が気になり始め、そこそこするsonybluetoothスピーカーを買い、spotifyに加入した。しーんとしている環境は、意外にも就労意欲が散漫になる一因だ。仕事中は会議の時以外、陽気なレゲエミュージックを流し、小腹が空いたら冷凍たこ焼きか今川焼きをラテンスタイルで楽しんでいる。また、冷蔵庫を買った最初の頃、調子に乗ってカマンベールチーズを食べ過ぎてしまい、コレステロール値が爆上がりしてしまったのは、痛い誤算だった。置く場所をかなり取り、掃除の邪魔になるyogiboの購入は今でも迷っている。このまま渡航制限が解除されずにリモートワークも続くのであれば、山の中の温泉地にでも引っ越そうと思う。その時は、小鳥のさえずりと川のせせらぎが聞こえる広い部屋で、好きな音楽を聴きながらyogiboに体を沈めたい。