ノマド探求

二次元移住準備記

流動性が大切。

流動的な仕事と聞くと、どうしても負の印象がつきまとう。家庭を持ったり、家を買ったりする場合、毎月確実にお金が入る安定した仕事が好まれる。そのため、派遣やアルバイトは不安定な仕事に分類され、例え安定した仕事より収入が多くても、真っ当な仕事には見なされない。一面では真実だと思う。お金が確実に手に入らなければ、将来の長期的な予定は立てにくいだろう。しかし、この不安定さは同じポジションに留まろうとする人から見る場合であって、常に動き続けていれば、それはそれで安定しているのだ。流動的な仕事も、仕事を回し続ければ安定した仕事になる。

IT業界は飲食業界ほどではないにせよ、人の移り変わりが多い業種の一つだ。まして派遣社員で働いていると、現場を移る機会は多い。通常、派遣契約は三ヶ月毎の更新で、三ヶ月毎に人の入れ替わりが起こる。派遣社員が多い職場だと、一年も経つと顔ぶれが全く違ってしまう職場もある。ごそっと人が抜ける時は、それこそ全く違うチームの様相になる。人が抜ければ当然それを穴埋めするわけで、この流動性のおかげで経験が浅かったり、歳を食っていたりしても新規参入がしやすい。逆に硬直した業種だと、抜ける人が少ないため、新しい席が作られない限りは、そこに入っていけないのだ。

畢竟、らせん階段を上るように、皆で現場を移れば誰も食いっぱぐれることはない。そうは言っても、技術的経験的に上がれない人もいるし、嫌気が差したりメンタルをやられて脱落する人もいるわけで、慢性的な人員不足となっている。空いた席は埋まらないまま、良い人材がいないと嘆くばかりで、育てようする人が少ないのは、派遣先も派遣元も同じだ。それなら自分で自分を育てれば、簡単にステップアップができそうだと思うが、空いた席にしれっと座るのは難しく、タイミングがとても重要になる。

今の派遣法は、なんやかんやで派遣社員の権利を見直す切っ掛けになった。その点は感謝している。それでも、一カ所に留まりたい人に果たして安定をもたらしたのか疑問は残る。三年縛りなどは、逆に職場の硬直化を引き起こし、動きにくくなってしまったようにも思う。正社員で働きたい人は働けるような環境が理想的だが、日本の会社は一度雇うと辞めさせにくいので、政府が考えたようには正社員化は進んでいない。三年経っても同じ職場で働きたい人が、無期限雇用という名目の元、安くで買い叩かれているだけのような気がする。