ノマド探求

二次元移住準備記

職歴ロンダリング。

正社員で働いた経験のない人間が、就職活動に躊躇する、もしくは躓く原因の一つに職歴の空白がある。職歴の空白は長くなればなるほど、その障壁も比例して大きくなる。落とされても何度も挑戦し、そのうち運良く突破できる人もいる。しかし、何度も弾かれるうちに疲弊し、やがては諦めてしまう人もいる。面接官に悪意がなくても、空白の理由を面接で質問された瞬間、多くの人は文字通り詰むだろう。開き直れる強者は少ない。これは体験した者にしか分からない。

派遣社員が真っ当な働き方かどうかはさておき、長年ニート状態にある人、もしくは私のような中年フリーターは、派遣社員で働くと職歴の空白を埋めやすい利点がある。職歴ロンダリングができるのだ。派遣先で働く際には、派遣会社の相当強力な後押しがない限りは、職場見学会という事実上の面接を受ける。職場見学会は派遣法に抵触し、それが慣行され続けている現状は、派遣で働く闇の一つだが、ここでは触れない。職場見学会では、職歴は直近の三件程度しか話題にならない。その理由は派遣会社の営業が派遣先の担当者に渡す履歴書兼職務経歴書にあって、三件程度しか職務履歴を記載するスペースがないのだ。いくら頑張って職歴を書いても、A4一枚程度に収まらない職歴は除外される。やる気のない営業だと、溢れた文字が印刷されないまま職務経歴書を派遣先に渡す始末だ。

職歴を洗うためには、一年で一つの職場を経験しても最低三年程度の時間が必要になる。一年以内に辞めてしまうと、地雷認定を受ける時もあるので、最低一年は我慢する。派遣社員の求人には応募即採用のような求人もあり、人材の流動性も高く、IT業界で働き始める端緒は他の業種に比べると比較的探しやすい。コールセンターや社内ヘルプデスク、PCのセットアップ、私がIT業界で初めて就いた監視の仕事などが、応募即採用求人にあたる。もちろん応募が殺到すれば派遣先にも選択肢は出てくるが、ヘルプデスクや監視は時給も低く体裁も悪いため、人気は低い。ただ、業界未経験者を敬遠する傾向はIT業界も同じだ。最初の職場は、とりあえずIT業界での就業経験を優先したい。未経験でも働ける職場は求人の間口が広く、色んな人間が入ってくる。嫌な経験もするだろうし、それこそ事件も起こる。ヘルプデスクや監視の仕事は、一年も勤めれば立派な職歴になる。一件目の職場はぐっと我慢しよう。そうすれば二件目、三件目は、もう少しまともな職場が選べるはずだ。そうして三年も我慢すれば、綺麗にはならないがパッと見てましな職務経歴にはなる。