ノマド探求

二次元移住準備記

やはり何もせずにゴールデンウィークが終わった。

何も生産的な活動をしないまま、十連休が終わろうとしている。遊ぶわけでも、勉強をするわけでも、旅行に行くわけでもなく、ぼーっとしていたら、いつのまにか十日間が経っていた。二十年ぐらい前、ニートだった時のことを思いだす。ゴールデンウィークは終わりが決まっているが、その時は終わりのない休日をただ漫然と過ごしていた。幸いに家族の庇護もあり、実家で安穏と暮らしていたので、将来に対する漠然とした不安以外は、まるで時が止まったかのようにのんびりと気儘な生活を満喫していた。

カフカとした薄っぺらい夢のような日常は、バックパックを背負って海外旅行に行き、途中で旅行に飽きてしまった時にも感じた。ただ、バックパッカーは帰国すれば淡い夢から覚めるが、ニートは現実に引き戻されるまで夢の終わりが訪れない。家族としか接点のない狭い世界で、同級生が結婚をし、子供ができる年齢になっても、好きなだけ映画を観て、本を読んでいた。日課と言えば、散歩がてらにコンビニと本屋で立ち読みをし、ゲームセンターに行くぐらいで、感覚的には間延びしていたが、何も記憶に残ってはいない。後悔はしていないが、もう少し生産的な活動ができなかったものかとは思う。

今の派遣の職場では社内ニートとなり、就業時間の半分以上は暇を託っている。この連休が終わっても、仕事モードに切り替わるには時間がかかりそうだ。社内ニートは楽でいいが、派遣社員の身分では死ぬまでこの職場で働き続けられはしない。いずれ派遣契約が終わり、次の職場に移る。竜宮城から戻った浦島太郎が玉手箱を開けた後、現世でどうやって生きたのか、語られていない。竜宮城にいた時、いずれこの生活は終わるだろうと薄ら気付いていたとしたら、やるせない。社内ニートも浦島太郎も、終わりの見えない終わりに備えるには、自らその終わりを定めた方が手っ取り早い。